40年近い歴史を誇る老舗電話相談「思春期・FPホットライン」を閉じるにあたり、新たな窓口として「LINE相談」の企画が挙がった時には、需要はあるのか、どのような相談が飛び込んでくるのか皆目見当がつきませんでした。相談者と対話しながら話題を展開できないことや、一方通行のしかも文字で回答することなどに、SNSに慣れ親しんでいるとは言い難い世代の相談員でしたが、多少の不安を抱きつつも、「とにかく始めよう、走りながら考えればいい!」と1か月程の準備期間を経て、本年4月1日からLINEを利用した相談を開始しました。
相談員の負担を考慮し、チャット(会話)式ではなく、届いた質問に相談時間内(平日の10時~16時)に、到着順に回答することと、相談者にとって必要な受診機会を逸することがないよう、LINEの“友だち登録”(相談に必要)がなされた時点で、緊急事態には対応できないこと、個別の症状に診断ができないことなどの注意事項が相談者の画面に表示されるようにして、双方が相談の限界を認識した上で利用できるように配慮しました。
4月1日のスタート時点では、LINE相談の開始については、留守番電話での案内と、クリニックのホームページでの紹介だけでしたが、10時の開始時間にパソコンを立ち上げると、早速第1号となる相談が届いていました。
「避妊が確実にできていたのか、1日たった今、急に不安になってしまいました」文字にすると淡々としていますが、ご本人がどんな心情で返事を待っているだろうかに思いを馳せ、急いで入力しなくては、でも必要な情報を漏らしてはなるまいと、相談員は真剣な表情で慣れないキーボードに向かいます。緊急避妊の話と医療機関の探し方、後から不安にならないよう避妊の主導権を自分が持つことなどを提案しました。返信からそう時間がたたないうちに「ありがとうございます。受診を予約しました」との連絡があり、相談は完結。相談員の印象としては、例えば最終月経がいつだったか、お金は持っているか、など電話のようにいろいろ聞き出せないことから、回答が画一的な一般論になってしまうことに、想定内と思いつつもストレスを感じるとのことでした。
とはいえその後も、包茎、性器のサイズ、妊娠不安、PMS、月経不順などの相談が続き、電話と変わらない役割が果たせそうな滑り出しに、ひとまず安堵しているところです。
目下のところ相談員の主な仕事は、基準となる回答集づくりです。電話相談の分類に使用していた項目別に、想定される質問をピックアップし、それに専門書などを参考に回答例を書き込んでいきます。実際の相談では該当項目をコピー&ペーストした上で、挨拶や、相談を寄せてくれたことへの感謝、時に相談者の気持ちに寄り添う言葉を添えて、返事を送信します。短時間で科学的根拠に基づいた回答や、相談員の経験が届くよう工夫を続けていきます。
下記にお示ししましたIDの入力、またはQRコードを読み取ることで、相談につながります。
Line ID: @183xqhfs
実は相談事業でLINE社の「公式」に承認されるには、トラブルが起こった際、警察との連携が取れる指定のシステムを利用することが条件とされているのですが、性質上警察を介する事態は想定されないこと、公式承認がなくても相談事業は実施してもよろしいとのことでしたので、「JFPA思春期・FP相談LINE」はLINEの公式アカウントではありません。LINE上で名前での検索ができないことだけが、欠点となります。そのような事情がありますので、ぜひ機会あるごとにID、QRコードをご紹介いただければ幸いです。