4月14日、国連人口基金(UNFPA)は「世界人口白書2021:私のからだは私のもの―からだの自己決定権を求めて」を発表した。その中で、開発途上国57カ国において約半数の女性が、パートナーとの性交渉、避妊薬・具の利用、ヘルスケアの3つの分野における決定権を真に享受できていないと訴えた。
「からだの自己決定権」とは、暴力を恐れたり、他人に決められたりすることなく、自分のからだに関することを自分自身で選択することと、その力を意味する。白書では、からだの自己決定権が損なわれると、女性と少女に深刻な被害を与えるだけでなく、経済的生産性とスキルの低下をもたらし、結果的にヘルスケアや司法制度に余分なコストが必要となる可能性があると報告している。
また、レイプ事件を起訴するための刑事司法制度が、処女検査を要求する場合がある―などの例をあげ、虐待に対処するための対応が、からだの自己決定権を侵害するさらなる暴力を引き起こすことになり得るとも言及し、真の解決策は、被害者のニーズと経験を考慮したものであるべきと訴えている。
UNFPA事務局長のナタリア・カネム氏は声明で「からだの自己決定権の否定は、女性と少女の基本的人権の侵害であり、不平等を拡大し、ジェンダーに基づく差別に起因する暴力を延々と固定化させるものです」「それは精神を崩壊させる程の脅威であり、阻止すべきものです」と述べた。