Facebook Twitter LINE
OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか

OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか<36>
私とOC/LEP~月経不順・ニキビ・PMSを経験して~

第833号


社会医療法人社団順江会 江東病院婦人科 部長(東京都江東区) 宮国 泰香

月経の悩み

 月経不順と付き合い、OCの内服・中止を経て、多発子宮筋腫となり、昨年に手術をした私自身の経験から、患者目線での感想・意見をお伝えできればと思います。私の月経周期は、30~90日で、正常といわれる38日以内で来ることは、年に2、3回でした。中学校・高校の頃は、月経があまり来なくて、ラッキーと思っていましたが、いつ来るのか分からないのは嫌でもありました。月経の1~2日目には月経痛があり、痛み止めの内服で対応していました。月経前の便秘・ニキビに悩み、メンタル的な不調もありました。母は月経痛がほとんどなく、月経周期異常もなかったようで、私のつらさはほとんど理解されず、月経でつらくても、怠けているという扱いを受けていた覚えがあります。2人の弟が周りにいたので、月経について話をしづらかったこともありますが、今思うと、母もよく分からないから、聞かれたくなくて避けていたのではないかとも思います。

産婦人科医だけど、月経異常

 医師になり、PCOS(多嚢胞卵巣症候群)を疑い、検査をしましたが、PCOSの診断とはなりませんでした。大学の医局に所属しているので、1~2年ごとに関連病院への異動が定期的にあり、異動すると毎回3か月近く月経が来ませんでした。自覚がなくてもストレスを感じると、月経は遅れるのだろうと納得して受け入れて過ごしていました。突然、2か月以上月経が来ていないことに気付き、検査をするか悩むこともありました。
 診療の際に最終月経を聞くと、答えられない患者さんがいて、イラっとすることはありませんか? でも、月経周期が整っていないと、結構難しいのです。今はアプリもありますし、記録しやすくなったと思いますが、毎月きちんと来ているわけではないと、記録しているのが、前回なのか、前々回なのか、分からなくなります。月経異常で受診する方に最終月経を答えられない方が多いのは仕方がないと自分のことを振り返ると思います。
 医師になってからは、自分でこっそりエコーをしたり、黄体ホルモン薬や中用量ピルを内服して調節をしたりしていました。受診するクリニックを調べて、有休を取るなどのことを考えると、産婦人科医で良かったと本当に思いました。患者に説明しながら、なぜ自分は内服していないのだろうと気付き、医師となって3年目くらいの時に、OCの内服をスタートしました。月経痛が軽減したことも良かったですが、月経の度に増悪していたニキビの問題が改善したことや、便秘の軽減がうれしかったです。妊娠や月経周期の心配をしなくてよくなったことは、ありがたかったですが、忙しい当直の際に内服を忘れてしまい、月経が早く来ることが多く、そこだけは残念でした。まだ日本では承認されていないインプラントやパッチなどといった製品が使用できるようになることを切に願います。

知りたかったことを伝えたい

 学生時代に月経が遅れると、いつ受診しようかと悩みながら、何となくやり過ごしてきた者として、性教育の際には、妊娠検査のタイミングや、受診のタイミングなどをきちんと話すように気を付けています。不真面目な患者の一例としての過去の自分を忘れずに、分かりやすい説明を心掛けながら、診療や授業に取り組んでいきたいと考えています。


今月の人

みやくに・やすか
2002年、山梨医科大学卒業。同年、順天堂大学産婦人科学講座に入局。15年7月より日本産婦人科医会幹事。22年4月より江東病院婦人科部長。


JFPA無料メルマガ登録をお願いいたします!

前の記事へ 次の記事へ

今月のページ

季節号・特集号

連載・コラム

バックナンバー