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第28回松本賞 木村 正氏(大阪府) 受賞決定

第841号
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大阪大学大学院医学系研究科(産科学婦人科学講座)教授 木村 正氏
※2024年4月1日からは地方独立法人堺市立病院機構理事長となる。



 日本家族計画協会の故松本清一元会長の名を冠した顕彰制度で、わが国におけるリプロダクティブ・ヘルスの分野において活躍している第一人者に対し、その功績を讃えて贈呈する「松本賞」。その第28回選考委員会が3月28日に開催された。

 当日は、選考委員会委員ならびに過去の受賞者のうち故人を除く29名を推薦人として、推薦された候補者の功績調書をもとに、厳正な審査が行われ、大阪大学大学院医学系研究科(産科学婦人科学講座)教授木村正氏(63歳)の受賞が決まった。これで受賞者数は40名。内訳は医師37名、看護職3名となった。

 選考委員会は、木下勝之(日本産婦人科医会)、小西郁生(日本産科婦人科学会)、吉村泰典(日本生殖医学会)、高松潔(日本女性医学学会)、勝部まゆみ(ジョイセフ)、北村邦夫(本会)(敬称略)から構成されている。

 木村氏は1985年3月大阪大学医学部を卒業後、同大学産科学婦人科学教室で修練を開始し、関連病院での研鑽、ドイツハンブルグ大学留学などを経験し、2006年9月に大阪大学教授に着任、教室を主宰した。18年4月から2年間大阪大学医学部附属病院病院長を務めた。大阪大学時代には673報の英文原著・症例報告・総説を刊行し、教授在職中に216名の新専攻医を迎え、104名が学位を取得するなど産婦人科の発展に寄与した。
 24年4月1日から地方独立法人堺市立病院機構理事長。
 同氏は13年に開始した大阪府における、産科と高度救命救急センターとの協働により重篤な妊産婦の救命を図る最重症妊産婦受入事業の展開に指導的役割を果たし、大阪の妊産婦死亡防止に貢献した。日本産科婦人科学会では11年より常務理事、19年から23年に理事長を歴任、その後監事に就任。常務理事時代に国際産婦人科連合(FIGO)の日本代表理事などを務め、JICA資金を得てカンボジア産婦人科学会への支援事業を行い、同国の子宮頸がん検診体制の礎を築いた。理事長時代には、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念を産婦人科医、並びに国民に普及推進することに務め、この概念に基づき出生前・着床前遺伝学的検査に関して専門家や市民と対話し倫理的側面も重視しつつ実践する体制を確立した。HPVワクチン接種勧奨差し控え問題について、多くの有効性に関する医学的データを国民に示し、行政の勧奨再開を後押しした。流行を極めたCOVID-19感染症に対し、他学会と協力して特に妊婦に対して行動自粛やワクチンに関する情報を発信し、分娩施設における院内感染対策情報も提供した。
 また、24年度より本格化する「医師の働き方改革」に向けての提言を種々行った。23年より日本医学会連合理事。産科医療補償制度の再発防止委員会委員を12年より、委員長を18年から現在まで務め医療安全と医療者‐妊産婦間の相互理解に貢献している。これら一連の社会活動に対し、19年には産科医療功労者として厚生労働大臣表彰を受けた。

 同氏の女性のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの向上に関する幅広い功績は、その産婦人科専門医教育、産科学・婦人科学・生殖医学に関する多大な貢献とともに、由緒ある松本賞に値するものと評価され、今回の受賞に至ったものである。



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