子どもの権利の保障を明記した「こども基本法」の施行とともに、4月に発足した「こども家庭庁」。同庁は、内閣府の子ども・子育て本部や、厚生労働省の子ども家庭局などが所管していた子ども関連行政事務を移管・集約し、各府省庁にまたがっていた子ども関連施策を一元的に担うために誕生した。「常にこどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取り組み・政策を我が国社会の真ん中に据えてこどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、権利を保障し、だれ一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しするための新たな司令塔」として、内閣府の外局に設置される。子どもが、自立した個人として等しく健やかに成長することができる社会の実現に向けて、子どもと家庭の福祉の増進・保健の向上等の支援、子どもの権利利益の擁護を主な任務としている。
同庁の内部組織は、長官官房、こども成育局、こども支援局の1官房2局430名体制でのスタートとなる。長官官房(企画立案・総合調整部門)は組織全体を取りまとめる部門で、「こどもの視点、子育て当事者の視点に立った政策の企画立案・総合調整(こども大綱の策定、少子化対策、こどもの意見聴取と政策への反映等)」「必要な支援を必要な人に届けるための情報発信や広報等」「データ・統計を活用したエビデンスに基づく政策立案と実践、評価、改善」などを所掌。子どもの育ちをサポートする、こども成育局は「妊娠・出産の支援、母子保健、成育医療等基本方針の策定」「就学前の全てのこどもの育ちを保障するための指針の策定、認定こども園教育保育要領・保育所保育指針の双方を文部科学省とともに策定」「相談対応や情報提供の充実、全てのこどもの居場所づくり」「こどもの安全」などを所掌する。支援が必要な子どもをサポートする、こども支援局は「様々な困難を抱えるこどもや家庭に対する年齢や制度の壁を克服した切れ目ない包括的支援」「児童虐待防止対策の強化、社会的養護の充実及び自立支援」「こどもの貧困対策、ひとり親家庭の支援」「障害児支援」「いじめ防止を担い文部科学省と連携して施策を推進」などを所掌する。
令和5年度のこども家庭庁当初予算案は、およそ4.8兆円で、令和4年度の第2次補正予算で前倒しで実施したものなどを含めると、5.2兆円規模となる。対前年度と比較すると、「出産・子育て応援交付金」の継続実施や保育士等の処遇改善、保育所等の受け皿整備などにより、約1,233億円(+2.6%)の増加となっている。(別表参照)