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8月31日は「野菜の日」
農水省が冷凍野菜をテーマにシンポジウムを開催

 農林水産省は8月21日、令和6年度「野菜の日」Webシンポジウムを開催した。今年は「冷凍食品を生活に上手に取り入れるために」をテーマに、基調講演などが行われた。
 野菜の日(8月31日)は、1983年に複数の食品関連団体によって制定された記念日。野菜はビタミンやミネラル、食物繊維などの重要な供給源だが近年、日本人の野菜摂取量は280g程度に低下しており、目標とされる350gとの乖離が大きい。これを背景に農水省では毎年、野菜の日に合わせ、野菜の消費拡大の機運醸成を意図してシンポジウムを開催している。

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食品の“零次機能”を支える冷凍技術
 今年は、東京海洋大学教授の渡辺学氏が、「冷凍野菜のサイエンス」というタイトルで基調講演を行った。同氏は、まず食品の機能について解説。食品には、一次機能としての栄養、二次機能としてのおいしさ、三次機能として体に良いという機能があるとされ、最近は特に三次機能が注目されているが、それらの大前提の“零次機能”として安全であることが極めて重要であると同氏は強調。そして、食品の安全を確保するために、保存技術が必要とされると語った。
 同氏は続いて、その保存技術についての話題を展開。食品の品質を劣化させる要因として、微生物によるカビなどの発生、酸化による変色、自己消化酵素による腐敗、フレーバー成分の揮発による香りの低下、乾燥による硬化などのさまざまな現象があるが、それらの大半(でんぷんの老化・糊化以外)は、「温度を下げる」ことで抑制されるという。

食材を“生”のまま保存できるのは冷凍だけ
 ところで、食品を長期間保存させるために最も重要なポイントは、微生物を繁殖させないことだが、それには(1)保存する前に微生物の量を極力減らすことと、(2)保存中の微生物の増殖速度を抑制すること―の二つの方法がある。(1)に該当するものとして加熱処理後に缶詰めやレトルトパッチにすることが挙げられ、(2)の方法としては冷凍のほかにも、酸度を高くする(pHを下げる)ことや、水分活性を下げること(乾燥や塩蔵・糖蔵など)、および、ほかの微生物を増やすこと(発酵)が該当する。
 しかし、食品を“生”の状態で保存可能なのは冷凍のみであり、そのほかの手法は全て、保存する工程で生ではなくなってしまう。例えば魚であれば、塩漬けや干物、煮魚などにせざるを得ない。

野菜の冷凍保存に立ちはだかった難題
 冷凍保存は、生鮮食品を生の状態で保存でき、加えて栄養素の損失も、ビタミンCが低下することを除けばわずかである。このように多くの優れた特徴を持つ冷凍という技術だが、もちろん現在のレベルに到達するには紆余曲折があったようだ。講演では、その興味深い歴史が詳しく解説された。一部を紹介すると、例えば初期の課題は、冷凍によって食品中の水分が氷になり細胞が崩れてしまい、解凍後の食感が低下してしまうことだったという。この点は、急速冷凍などの技術によって、おおむね解決された。
 ただし、こと野菜に関しては、解凍時にドリップと呼ばれる水分が発生してしまうという課題もあり、ほかの食品に比べて高いハードルが残されていた。この点についても、ブランチングと呼ばれる冷凍前の短時間の加熱処理によって抑制できることが分かり、現在は解決に近づいている。それでも、野菜の種類によってドリップの量が異なるために、ブランチングも最適な方法を個別に探る必要があるとのことだ。渡辺氏は、「冷凍野菜をおいしく食べるために、ブランチングと解凍、調理の最適な組み合わせを研究していきたい」と今後の方向性を語り、講演を終えた。

冷凍野菜は解凍せずに加熱調理する!
 シンポジウムでは渡辺氏の講演に続き、(株)ジェイエイフーズみやざきの伊豆元文博氏が「冷凍野菜原料の安定供給のための取り組み」、(一社)日本冷凍食品協会の三浦佳子氏が「べんりとおいしいのその先へ」、神奈川県立湘南高校の生徒で最年少野菜ソムリエプロの緒方湊氏が「フードロスを防ごう!簡単ホームフリージング」、元南極越冬隊のシェフでフーディフード(株)の渡貫淳子氏が「元南極シェフおすすめの冷凍野菜活用術」という子に講演を行った。複数の演者から、冷凍野菜をおいしく食べるポイントとして、「解凍せずに凍ったまま加熱すると良い」というアドバイスが語られた。






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