ニュース・トピックス

『支援者から始める人生会議・終活サポートセミナー』講師 
村田陽子先生に聞く 終活支援とは

来る6月29~30日に本会で初めて「人生会議・終活」をテーマにしたセミナー が開催されます。
そこで、セミナーに向けて講師である村田陽子先生を当会にお招きし、終活支援を始めた経緯、エンディングノートの活用方法やセミナーの詳細をお聞きしました。

講師プロフィール


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村田 陽子(NPOまな市民後見セーフティーネット 保健師・公認心理師)
北海道立衛生学院保健師科卒業後、産業保健の現場(朝日新聞社、HOYA株式会社、日経BP社)で実績を積み、1990年より個人事業主として企業研修、医療職研修、健康づくりアセスメントの開発など多方面に活躍。2013年よりNPOまな市民後見セーフティーネット理事長として、エンディングノートの作成、生涯健康で健やかに過ごす秘訣などの講演を行っている。「生き方を援助する健康教育」として自分で考えること、自分で選ぶことを大事に、「生まれてきて良かった」と思える人生を生活、健康面からサポートしている。

終活支援の始まりは
施設向けに自ら作成したエンディングノート

――どのような経緯で終活支援や任意後見を始めたのでしょうか

ある社会福祉法人のスタッフ教育として関わっているときに、そこの理事長から「介護施設利用者が今までの人生でどういうことをしていたか、何が好きだったかといった過去の情報が分からないとその人に合った支援ができない、特に認知症の方は難しい」という相談がありました。

その課題を考えているときに出会ったのが、エンディングノートです。施設向けに自らエンディングノートを作成したのが終活支援の始まりでした。このエンディングノートがどのくらい役立つのか、試しに某銀行のOB会で紹介させてもらい感想を聞いてみました。その結果、書くのが面倒、子どもが海外にいるのでエンディングノートに書いても、葬儀の手配など書いたことをやってもらうのは難しい、そもそも子どもがいないので書いたことを実現してくれる人がいないという声を頂きました。

その後、司法書士との出会いもあり、第三者でも契約すればエンディングノートに書かれたことを実行するのは可能だと分かりました。すぐに「東京大学市民後見人養成講座」を受講して、NPOまな市民後見セーフティーネットを立ち上げました。

自分の人生を見返すよい機会

――現在の終活の状況や課題はいかがでしょうか

エンディングノートの必要性は分かっていても、「何から書いてよいのか分からない」という声をよく聞きます。また、市販のエンディングノートを書いていると暗い気分になるので書きたくないという意見や、将来どうなるか分からないからまだ書けないといった理由でエンディングノートを完成させられない方がいるようです。

そんな方々のためにグループで話しながら楽しくエンディングノートを完成させていくことや、まずは書いておいて、状況が変わったら書き直せるファイル形式を勧めています。現状で書いてみるということは自分の人生を見返すよい機会にもなります。

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――エンディングノートを書くタイミングはどんなときがよいのでしょうか

興味を持ったときが一番のタイミングだと思っています。例えば「定年」であったり、「70歳の節目」「保険の見直しをするとき」など、節目に興味が向く方が割と多いように思います。また、災害が起きたりすると、不測の事態に備えておきたいという気持ちが高まる方が多いようですので、備えとして作っておくと便利ですよと勧めています。エンディングノートは、銀行口座や家の権利書など「生きている間に必要な情報」を1か所にまとめるライフノート的な位置付けのものになります。これにプラスして葬儀などの行ってほしいことの希望や情報を入れるとエンディングノートになると、私は思っています。

――ライフプランノート「もしときファイル」※について

※ライフプランノート「もしときファイル」とは
最短2時間で作れるエンディングノートです。自分自身の情報、健康状態、交友関係、今後の願い、資産の5項目に分けて記入することができる『もしときライフノート』、 緊急時にすぐに持ち出したいもの、大切なものを入れておくことができる『もしときポーチ』、 もしときライフノートとポーチをファイリングすることができる『もしときファイル』がセットになったモノです。

エンディングノートを始める前の「きっかけ」として読んでおいてほしい一冊『わたしの生き方』も入っています。

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「もしときライフノート」が他のエンディングノートと大きく違うのは以下の3点です。
1点目は、エンディングノートの内容解説がないことです。あくまでも書いている個人が、残された人、お世話をお願いする人に向けて、読んでもらうことを意識して書きます。
2点目は、情報はなるべくコピーを入れるようにして作成の負担を減らすようにしています。どうしてもご自身の希望は書いていただかないといけないのですが、それ以外はコピーで十分です。
3点目は、自分の生い立ちを入れないことです。
このノートを作成する人は自分の生い立ちを誰に紹介したいのだろうか、生い立ちが必要になることがあるとするなら、葬儀の「喪主あいさつ」なのではないかと思い、生い立ちを入れずに葬儀のあいさつ文として、自分のことを紹介するように工夫をしました。

自分の人生を見つめ直すきっかけ、
さらによりよい時間の使い方を考える

――今回の「支援者から始める人生会議・終活セミナー」はどのような内容でしょうか。

今回のセミナーでは、「支援者から始める」とセミナータイトルにあるとおり、まずは終活支援をする皆様に、ワークショップを通じてご自身で「エンディングノート」を作成していただきます。その中で具体的な作り方や進め方はもちろんですが、それぞれの準備をするのによいタイミングやコツなども紹介します。また、ただ単に書き方を覚えるだけでなく、まずは支援者自身が何を大事にしたいか、これからの人生をどのように有意義に過ごせるかを探るための機会にできるようなプログラムにしています。

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セミナーでの経験と考えを現場に持ち帰り、皆様が支援する番になったときは対象者一人一人が自分らしい生き方をするためのお手伝いをしていただけるとうれしく思います。 もしときファイルは、作ることによって今の自分の現状、自分が今後の人生で何を大事にしたいのかを探る一つのツールです。対象者となる方々が、自分の人生を見つめ直すきっかけ、さらによりよい時間の使い方を考えるのに役立てていただきたいと思います。

――本日はありがとうございました

センシティブな話題である終活をスムーズにすすめるためには本人、家族、支援者への理解を深めることが大切です。
村田先生に人生会議・終活における一連の流れをワークショップを通じて教えていただき、サポートのヒントを得ることができるセミナーはこちらです。

第1回 支援者から始める人生会議・終活サポートセミナー
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