連載「視覚障害者としてできること、手助けしてほしいこと」
編集後記
2021年04月26日
母子健康手帳は妊娠届の提出と同時に交付される、いわば全ての母親にとっての育児指南書である。しかし、視覚障害者は妊娠・出産・育児の情報にアクセスしづらいのが現状だ。今回視覚障害を持ちながら育児をしている母親3人に話を伺った。併せて点字版やマルチメディアデイジー版といった墨字(印刷された文字)によらない、母子健康手帳の大切さについても語ってもらった。
「点字版とマルチメディアデイジー版母子健康手帳で、地域ごとの情報を得るにはどうしたらいいのか」。これは取材していく中で寄せられた声の一つだ。母子健康手帳は厚生労働省発表の様式に基づき、前半(省令様式)と後半(任意様式)の二つに分かれる。
後半は地域ごとの情報をまとめて記載してもいいため、自治体によって内容が異なる場合が多い。そのため、点字版ないしマルチメディアデイジー版となると、後半はそれぞれ自治体の情報に合わせて新たに作成する必要がある。一企業がデータを集めるためには各自治体との連携が必須で、そう簡単にできるものではない。
現状、子育ての情報を視覚障害者が得るには、行政の保健師などからの情報発信に頼るしかない。地域ごとに点字版ないしマルチメディアデイジー版の重要性を再確認し、情報を伝えてもらいたいと思う。
一般社団法人 日本家族計画協会 石本暉乃
(2021年(令和3年)1月号(1面)より)
連載「視覚障害者としてできること、手助けしてほしいこと」
- 広田さん「市の窓口で、晴眼者と同じくらいの情報が欲しい」
- 寺西さん「障害者の立場として発信できることはしていきたい」
- 趙さん「視覚障害者の行政サービスがあることをもっと広めてほしい」
- 濱田さん「母子健康手帳は、当事者が一番使いやすい媒体で『交付』を!」
- 編集後記