和のアートワークで社会問題に挑むかぶき者!
親の平和と大人の「本気」を魅せることは子どもの成長に必須
本コーナーでは、地域でのつながりを大切にしながら子育て支援をしている方々のインタビュー記事をご覧にいれます! “わ”は、「輪」であったり、「和」であったり、「環」であったり…、また驚いたときの「ワ!」でもあったり…時にはみなさんをワッと驚かせるような事例も飛び出す楽しい記事をお届けします。
とも育てプロジェクト、インタビュー第8回目は、歌舞伎役者の中村橋吾さんです。
橋吾さんは歌舞伎以外にも、様々なメディア出演や、子どもから大人まで楽しめる歌舞伎ワークショップの講師、近年は社会問題をテーマにした創作歌舞伎をアートパフォーマンスとして力を入れています。そんな橋吾さんが考える「とも育て」とは?
歌舞伎体操のワークショップで楽しく日本の伝統を伝える
子どもは侮れない!きちんと見て・覚えている
――橋吾さんは以前から「親子で歌舞伎体操」の動画や保育園でのワークショップ等、何かと子ども向けの取り組みも積極的にしている印象があります。
平成20年に歌舞伎の動きを取り入れた書籍「なりきり歌舞伎体操」(湯浅景元監修・ポプラ社)のモデルを務めたことがきっかけで、歌舞伎体操の講師もしています。
保育園、学校など子ども向けの歌舞伎体操をやっていると、みんな興味津々で真剣に取り組んでくれる。歌舞伎独特の世界観を楽しんで、日本文化を直で伝えることができています。また、保育園の幼児たち、再来したときに前回のことを覚えてくれていたり…子ども、侮れません。
<参考>おやこで歌舞伎体操 その1「箱割り」で美しい姿勢に!
(https://www.youtube.com/watch?v=G9cFynXfb3k)
――小さい子どもを連れて歌舞伎を観に行くのは難しいので、保育園のワークショップを介して歌舞伎を知れることは貴重な体験だと思います。橋吾さんは、歌舞伎は「観に行くもの」という概念を覆した「会いにくる歌舞伎(役者)」ですよね。
「会いにくる歌舞伎」いいですね。
舞台以外の日は、何かとイベントや企業コラボなどを積極的に取り組んでいる背景はまさにその考えです。私が関われることで社会がよくなるなら、舞台上だけにとらわれず動いています。
その結果、歌舞伎に興味をもって歌舞伎座等の舞台にも来ていただければ歌舞伎の発展にもなります。
「会いにくる歌舞伎」は、故郷の山形県稲刈りでのパフォーマンスも!
社会問題をテーマにしたアートワーク(芸術活動)とは?
わからなくてもいい、情熱や熱量と表現される「本気」は伝わる
――最近、「平和」をテーマにしたイベントで登場している姿をよくお見かけしますが、何かきっかけはあるのでしょうか?
近年は社会問題をテーマにしたアートワーク(芸術活動)に力を入れています。
簡単に申しますと、「平和」を伝える活動です。
「平和」などのワードは、日本の日常で唱えるのは強すぎますし、会社員、子育て中の方など皆さまは忙しくて考える余裕もないと思います。
そこでアートの力です。
私がもっている技術である舞台芸術の力を使えば、「平和」をメッセージとして伝えることができます。
エンタメなので、日常が忙しい人も楽しみの範疇(はんちゅう)で観ていただけます。
観ていただきたいのが、「平和成祈鐘(へいわになれやいのるはこのかね)」と名付けた作品で、「国連平和の鐘」を題材にしていまして、2020年9月21日「国際平和デー」に大阪で開催された『国連平和の鐘を守る会』主催の鐘打式典で初演しました。その後、各地で演じています。
<参考>【平和成祈鐘】中村橋吾 https://youtu.be/i5fBpTuQKCY
<参考>“Peace”を纏い、大都会の真ん中で平和をアートする橋吾さん
アートは、初見では「何をしているんだろ…」と理解できない方も多いかと。(笑)
でも、情熱や熱量と表現される「本気」は伝わるものです。これがきっかけになればいいのです。
「平和」と聞くと、規模が大きい話に聞こえますが、平和とは個人レベルのことです。
心が平和でないと毎日がざわつきますよね。
子育て中は、親子関係、夫婦関係がうまくいかなくなることも多いと聞きます。
でも、心が平和だったら?
もしかしたら毎日が今より穏やかに明るいものになるかもしれません。
その1人1人の心の平和、穏やかな1日こそが、世界を「平和」へと変える。
もともと日本は「とも育て文化」
大人の本気な取り組みを見せることも子どもへ影響する
――その通りですね。平和は世界レベルの遠い話ではなく、個人の問題で、平和なこころなくして、子育ては難しいです。橋吾さん、「とも育て」についてどう思いますか?
とても良い考え方です。
そもそも江戸時代は長屋みんなで子育てしていたり、母乳が出ないお母さんがいたら違う方が代わりにあげていたり、まさに周囲と協力していた時代背景もあるぐらい、当たり前のことだと思います。
私がしているアートワークも、「大人の本気を見せる」意味では、とも育て。
親以外の大人が真剣に何かを取り組んでいる姿や多様な文化や社会問題をアートで伝えることも「とも育て」になるのではないでしょうか。
――最後に、子育て中の方におすすめの癒し橋吾コンテンツは? 自薦でお願いします。
【なりきり歌舞伎体操 meets 浅草花やしき】(https://e-asakusa.jp/movies/27958)ですかね。遊園地なので子どもと楽しんで観ていただけるかと。このショット好きです。
―――私も好きですよ。これも。
―――みなさまも好きなショットを教えてくださいね。
プロフィール
中村橋吾(なかむら・はしご)さん歌舞伎役者(屋号は成駒屋)
「周りの人を驚かせたい!友人を楽しませたい!」という想いをきっかけに、18歳の時に大望を抱き一般家庭から歌舞伎の世界に飛び込んだ現役歌舞伎役者である。
歌舞伎座をはじめ、さまざまな舞台で活躍するほか、テレビCM出演、日本文化や歌舞伎を題材にしたアート作品の発信で注目を集めている。
中村橋吾公式SNS https://www.instagram.com/nakamura_hashigo/
はしごだん https://845dan.com/
取材・文:大井 美深(おおい みゆき)
大学院で機能性食品素材の研究を経て、医療・ヘルスケア分野で情報サイトの企画・運用、広報業務を担当する。記念日を利用した公募企画、乳がん・子宮頸がんなどの患者支援団体との協力実績多数。エンターテインメントとヘルスケア情報配信のコラボレーションなどを得意とし、ヘルスリテラシーの向上に貢献する活動を幅広く行う。
※「マルトリ予防®」「とも育て®」は福井大学の登録商標です。