“花育”で目指す!ママたちのサードプレイス (宮崎優さん/花育士)
本コーナーでは、地域でのつながりを大切にしながら子育て支援をしている方々のインタビュー記事をご覧にいれます! “わ”は、「輪」であったり、「和」であったり、「環」であったり…、また驚いたときの「ワ!」でもあったり…時にはみなさんをワッと驚かせるような事例も飛び出す楽しい記事をお届けします。
とも育てプロジェクトインタビュー第4回目は花育士の宮崎優さん(以下、優さん)です。
現在、花育士として活躍している優さんに、「花育」「花育士」とは何か、花を介した子育ての可能性などをお聞きしました。
キャリアは10年以上!
2,000人以上に花育を教えたロングキャリアの花育士のレッスンとは?
——「花育士」をはじめて聞きました。優さんがこの資格を目指したきっかけを教えていただけますか?
大学卒業後に営業職として働いていて、忙しい日々を過ごすなか、友達と旅行へ行ったり飲みに行ったり…楽しみはあったのですが、「何か足りないな」と思っていた時に、フラワーアレンジメントに出会いました。花にふれる時間はすべてを忘れることができて、とてもリフレッシュできました。
フラワーアレンジを習っているうちに、偶然花育士をされているかたのブログをみつけて「これだ!」と思い結婚退職を機に花育士の資格を取りました。
花育士になってから試行錯誤しながらも花育や花育士育成を続けて、足掛け10年以上です。 延べ2000人ぐらいにレッスンをしている計算になります。
――10年以上の花育士キャリアがあることも、関わってきた人数やレッスン回数もすごい。花育教室では具体的にはどのようなことをするんですか?
①子どものための花育
②大人のための花育
③「花育士」講師育成
と現在大きく3つのレッスンをしています。
子ども花育はお花にふれることで感性を育てる・自由な創作活動により表現力を磨くという内容を、毎回テーマを決めておこなっています(母の日やひな祭り、夏祭り、クリスマスなど)。また参加年齢によりプログラムは変えています。
匂いを嗅いだり、花の構造を観察したり、切ったり、植えたり・・いろんなプログラムがあります。お花の名前や作り方を教え込むことは一切せず、花育のなかで楽しみながらお花の種類を伝え、産地などのクイズも取り入れています。
2歳から小学生までのお子さんが参加しています。
季節が感じられ五感を磨くことができる生花を基本的には使いますが、ハーバリウムやボタニカルキャンドルなど、生花以外の花を利用した「花あそび」もしています。
■子どもたちが夢中になる「花すくい」
■子どもたちは没頭する作品作り
■ハロウィンやクリスマステーマは毎年大人気
ママは大人のための花育、お子様は花育と、親子で花時間を楽しむ親子レッスンも人気です。
都内保育園や幼稚園、ママ友たちの集まりに呼ばれて出張花育をすることもあります。
花育士講師育成は花育活動をするための花の技術や花育のやり方、花育での子どもたちへの声かけなどについて講座をおこなっています。花育に参加してくれたママが、花育士としての私を見て同じく花育士を目指してくれると共感してくださった…とうれしくなります。
自身の子育てにどう影響した?
ママも個人になれるサードプレイスとしての役割も
――ご自身のお子さんにも花育をしていますか? お母さんが花育士で影響を受けていることなどもあれば教えてください。
花育の準備をしていると、同じ年齢くらいの子どもたちが来ることを知っている7歳の息子に自分も花育やりたいと毎回言われます。一人分多く用意して、レッスン後に息子だけの特別レッスンをすることもあります。
息子は歩き出す前から花育しているので、慣れたものです。
また花屋さんに行くことも多いですし、余った花をいつも飾っているので自然と花好きになっています。1歳の娘もレッスンのために準備した赤い実を手を伸ばして取ろうとしたり…7歳の息子は、手にたくさんの摘んだ花をもって友達に配っていると小学校の先生から聞いたこともあります。
花育士をしているので、これを自分の子育てにも生かしたいという思いはあり、この前イベントに参加したとき、息子にワークショップの手伝いをしてもらいました。
息子にお客さんの呼び込みを手伝ってもらうと、花育のワークショップの説明をしてお客さんを連れてきてくれて…感動しました。
お母さんが働いている姿を見せられたこと、お金をもらうという職業体験にもなり貴重な体験でした。
――「花育」という名称から、子ども、親子向けだけではなく、大人、特に子育て中のママ向けのレッスンにも力を入れていることが意外でした。
親子でいらっしゃるときとママが1人でいらっしゃるとき、まったくちがう顔になるんです。「誰かのママ」から1個人になる瞬間を目にします。レッスン中に話す内容も、自分の悩みだったり子育ての話だったり…。
講師と参加者、年齢が近いなど子育て中という共通点があるにしろ、家族や友達とはちがう距離感なので話しやすさもあるのか、周りに話せない悩みを聞くこともあります。
私は専門家ではないので、アドバイスや意見を言うことはしないのですが、同じ女性、ママとして…共感しながら時間を過ごしています。家庭、子育てから離れて、自分の時間を過ごせるサードプレイスのような場所も子育て中のママには大切ですよね。
花育という機会を通して、「今日のレッスン楽しかった!さぁ、帰ってからも頑張ろう」と帰宅時に思ってもらえるようなママたちの居場所をこれからもつくっていきたいですね。
「つながり」を大切に
規模ではなく質、「いい時間を提供できる」を求めて生きたい
――優さんにとって「とも育て」とは?
花育レッスンをきっかけに集まって話ができる場所を提供することで、ママたちに楽しんでもらい「つながり」を感じてもらうこと。
例えば、2022年から地域密着型のカフェで定期的に親子向けワークショップ「花育Café」を開催しています。子どもはワークショップに熱中しているうちに、ママにはおいしいコーヒーを飲みながら、ゆっくりしてもらう。きれいな花もありますし、子育ての息抜きや地域とのつながりを感じてもらえたらいいなと思います。
――今後目指している方向性などはありますか?
(規模を)大きくしたいとは考えておらず、花きっかけで出会えたご縁をずっと大切にしていきたいです。
子どもたちにとって花育教室は安心できる居心地の良い場所。
ママたちにとっても花に癒され、子どもとじっくり向き合える場所。
ママと一緒に子どもたちの成長を喜んで見守っていきたいと思います。
また花育士育成講座では、卒業生の方々が理想の花育活動ができるよう立ち上げた花育士コミュニティで、終わりのないフォローアップを実現していきたいです。
規模よりも内容や質。常に学びながらその時代にあったアップデートをしていきます。
自身の子育てでは、産後初めての子育ての不安や仕事への焦りから突発性難聴になったことや、婦人科系の手術をしたことなどがあります。経験している分、病気や、また病気かもしれない…と不安な気持ちはとてもよく分かります。花育とつなげて、今同じような状況で不安な気持ちでいる方々に今より少し気分が軽くなるような企画も今後考えていけたらいいなと思っています。
プロフィール
宮崎 優さん(みやざき ゆう)さん花育士Yuの花育教室CasualFlowerSalon主宰
https://ameblo.jp/yu-m26/
http://casualflowersalon.com/index.html
取材・文:大井 美深(おおい みゆき)
大学院で機能性食品素材の研究を経て、医療・ヘルスケア分野で情報サイトの企画・運用、広報業務を担当する。記念日を利用した公募企画、乳がん・子宮頸がんなどの患者支援団体との協力実績多数。エンターテインメントとヘルスケア情報配信のコラボレーションなどを得意とし、ヘルスリテラシーの向上に貢献する活動を幅広く行う。
※「マルトリ予防®」「とも育て®」は福井大学の登録商標です。