毎年、第一線の先生方に専門性の高い講義をいただいて好評を博している、本会「受胎調節実地指導員認定講習会」。ただいま、本年度の準備が着々と進んでいますが、今回、クリニックの事例や「GATHER法を用いた避妊指導」の講義を担当する本会 杉村由香理にインタビューしました。ご紹介させていただきます。
家族計画研究センター 杉村 由香理
思春期外来でたくさんの相談者とスタッフを見つめながら、日々クリニックの業務に携わる。受胎調節実地指導員認定講習会では、「GATHER法を使った避妊指導」の講義を担当。JFPAクリニックでの実例もまじえた講義をお届け!
――本セミナーではクリニックの事例について語っていただく時間がありますが、最近で変わってきたこと、または変わらない芯みたいなものはありますか???
変わってきたこと…といえば、患者さんの平均年齢ですね(^_^)。JFPAのクリニックは思春期外来のはずなのですが、最近ではスタッフと一緒に年を重ねているのを感じます。
いらっしゃる方々の中には、「思春期ではないことは承知しているけれど、他にかかりたくない」とおっしゃる方もいたりします。有り難いお言葉ですが…。
それと、もう一つ変わってきたことといえば、主訴でしょうか。ダイエットによる体重減少、部活や受験のストレスなどを起因とした無月経の訴えを聞かなくなりました。
最初からOCの服用を希望される方が増えてきましたね。ですので、保護者のお付き添いもめっきり少なくなっています。
変わらないことは、患者さんとの関係性です。距離感がとても大事で、なれなれしくもないけれど、顔を合わせれば話が弾む、といったようなよい距離を保ってお付き合いしています。 そして、専門的な相談や質問には、プロフェッショナルとしてお答えできるよう日頃から準備していますので、GATHER法が活かされていると思います。
――参加される方々には、専門職として、どういった視点を忘れないように(伸ばすように)していくとよいと思いますか?
まずは、知識の引き出しをたくさんつくることです。講義でも申し上げますが、その中から最低限必要なものだけを取り出せるようにしておきます。
目の前の相談者(患者さん)が何を求めて自分の前にいるかをいち早く察知し、それに応えられるかの判断も必要です。
あと、「ご自身の専門性(得意な分野)が何か」は、はっきりしているといいと思います。
JFPAの相談員の場合も、全員基礎的な知識はお持ちで、底上げの努力もされています。そのうえでそれぞれ得意なフィールドがありまして、性犯罪被害はこの人、OCについてはこの方というように、テーマを挙げていただくと顔が思い浮かぶくらいです。
――セミナーを受講する方々に、メッセージをお願いします。
専門職として、知識を得る機会はたくさんありますが、“伝えること”を学ぶ機会はあまりないのではと思います。
せっかく指導者として知り得たさまざまな情報が、目の前の人に伝わらないなんて、もったいない!としか言えません。
ちょっとした工夫で、相談者との関係性が変わるので、ぜひ意識して「伝える」プロになっていただきたいと思います。
――有り難うございました。